シリーズ第7回 薪ストーブが使う空気の量と煙突の関係
薪ストーブに換気扇をつけて吸い出すと、圧力が高くなったり低くなったりするのは、燃焼する空気が入る開口がそれぞれの薪ストーブで違うく設計されているから(シリーズ第1回)
それが全国どこでも比較したり使える共用できる数字になるのよ、ってことはわかっていただけたよね笑
ストーブによって使っている空気の量が違うっていうのは、
ストーブを使い始めた当初からなんとなく観察していて感じてはいたけど、それがどういう何とどんな関係があるのかっていうのは当時はまだぐるぐるしていて。
僕は薪ストーブを26台だか27台だか(もおどうでもいい)自宅で変えているので日々暮らしの中でそういう事に気づきやすかったし、同一の箱で(自分の家のことね)薪ストーブで変わる温熱環境をそれぞれ感じれたのはホント勉強になったと思う。しかも、それが、当時の北海道の平均的な性能の家って(今じゃクソスペックだけど笑)いうのがよかったなって。
薪ストーブを二十数回変えたのは物好きだったらやることかもしれないけど、
実は同じ薪ストーブで、4回煙突を変えたことがあるんだよ笑。
それはなかなか出来ないのかなって。
それはこういう仮説があったからどうしてもやりたかったの。
断熱二重煙突の方が薪ストーブ、暖かくないんじゃね??
シングル煙突から熱が出るって意味じゃないよ。これは日々の経験でずっと思ってて、でも日本は断熱二重煙突バカというか、断熱信者のポジショントークが多くてさ。断熱二重煙突だけがドラフトを!みたいなこと言うやつばかりで笑(ホント口悪いねー笑)
もちろん安全の為に絶対必要なんだけど、割り切れないこんな経験が続いたわけ。
一つはみにくいアヒルの子。シガー型の傑作だね。私の身体を通り過ぎて行った薪ストーブの1台でも当然ある。(それを家でつけたことがあるってことね)
ある時お客さんとこ行ったらそれがトロントロンとめっちゃよく燃えてたわけ。見たこと無いような。煙突は、トタン(一重ってこと)の4寸(120φ)が2mチョイしかなくてしかも曲がりあり笑。
断熱二重煙突だけがドラフトを生む的な日本のロジックでは割り切れないトロントロンの燃え方であったかいの。ガラスも曇らないし。
自宅の長い断熱二重煙突だったら絶対ここんな燃え方しない。しなかった。
トロントロンと言えば、ウチの店につけた名機モルソー71110CB。いまだ現役(年間数台はつけるね)。ウチの店の煙突は短いんだよね、4.5mくらいなのかな。店だと7110の天板は450℃になる、頑張って焚いてるわけじゃないよ、その時のカタマリとしてのあったかさと言ったらさ。ガラスだけが熱い今のストーブと違ってホントイイんだよね。
それが現場のオール二重煙突8mにつけると天板250℃まで笑
F500を2階設置でパラペットの屋根で3.5mしか煙突伸びない、、、おい大丈夫かよ、と思って試運転すると、一発目で天板450℃笑で、、
ま、さっきの割り切れないロジックって、
煙突性能がショボイほうが温かいっていうのはこの例にとどまらず、いくらでもあってさ、
それをある仮説とともに実証したのが煙突4回取り替えたってこと。
まず試験機に選んだのは名機F500。空気が沢山入るやつね。
F500ecoじゃないよ(名機と呼ばれるには時間がかかるからこっちはまだ名機じゃないよ笑 これからそういう歴史が刻んでいければいいけどね)
でどんな煙突4種かって、大きく言うと、
A みんな大好きオール断熱二重煙突。
B 吹抜けシングル150φ煙突
C 吹抜け105φシングル煙突 笑
D ちょっとこれは秘密、今度書くけど、これも煙突性能をある方法でわざとに落としてある煙突
どれが一番F500あったかかったと思う?
普通ならA の断熱二重煙突でしょ。
実は一番あったかくなかったのが断熱二重煙突なの。
データもあるよ。
というか、きっとそうなるだろうって仮説の実証実験だったんだよね。ショッキングな内容だよね笑
で、その仮説っていうのは
沢山空気を使う薪ストーブは煙突の性能が良すぎるとあったかくないはずだ、ってやつ。
ホント満足度の高い実験だったよね笑
これで自信もって
「まずはドラフトではなく安全性のための断熱二重煙突」って言うことでできるようになった。安全性を軽減するような考えは絶対にダメよ。
ただね、
煙突性能をショボくしていくと、薪を補給する時に煙漏れたりね笑。デメリットも当然あるわけ。
でもしつこいけど沢山空気を使う薪ストーブは、煙突ショボい方が(適度に)薪ストーブあったかいからね。てか実験やってみてない想像だけの反論とか要らんからしないでね笑
逆に、
例の数字が高いとこの、空気あまり使わない薪ストーブっていうのは、煙突が良くないと絶対にダメなのよ。短かかったり、断熱してない煙突とか絶対燃えん。グリーンマウンテンとか1階設置厳しいよ、とか、経験でなく数字でわかるのがこの開口度なわけ。煙突性能が良くないと性能発揮できないのはパツパツの薪ストーブの事なのよ。
まあ、時代はパツパツしたストーブに向かっているわけで
性能がイイ煙突の必要性がそれとともに高まっているとねいえるね。
日本のこの断熱が最高みたいなロジックって、じゃ断熱二重煙突じゃない煙突って何よ? って言ったら突然トタン煙突になってしまう国じゃそうなるのも仕方ないのかもしれない。海外にはよくできた断熱二重煙突じゃない煙突が沢山ある。
断熱二重煙突だけがドラフト生む! 的な日本古来のロジックに対する割り切れない疑問が
薪ストーブが使う空気が多い少ないというのと関係性があるだけ、っていうのがわかってさ、
色んなものが正しくニュートラルに腑に落ちたわけ。
簡単に言うと薪ストーブにとってドラフト過多の状態がおきていてさ、
滞留時間(火が何秒でストーブの中を駆け抜けていくかっていう数字。容積と流量から出す事ができる)っていうのが少なくなると
室内に熱を置いていかない(効率が下がる)ってなるんだけど、
今度またいわゆるドラフトっていうやつ、ちゃんと説明するわ笑。
因みに今までこのシリーズで書いたことほぼ全部2014~16年くらいの事なの、よくこんなこと黙っててしれっと熾壺日記書いてたと思わない?笑。自分でもどうこの事実を扱っていいかわからないってのもあったし。当時の発信力考えると迂闊にそれできなかったし笑。50代になって自分だけ知ってても意味無いしなってホント思うし。日本の薪ストーブ文化進めるためには、断熱二重煙突だけが的なロジックはだけではダメな時が来ると思ってたし(蓄熱体とより恒久的な煙突の普及のためには)、今のとこ薪ストーブ屋ってカンタンな仕事で終わってるの残念だなって思うし、自分の発信なんて意味もないのもわかってて世界を変えることや金儲けじゃなくて書いて残すだけの事が小さな意味と思って2009年から書き続けてきてるしね。
話はずれたけど、
薪ストーブが入る空気量っていうのは、最適な煙突の性能(必要なドラフト)、っていうのに似ているわけよね。なので、それが合ってないまま薪ストーブをジャッジしちゃう薪ストーブ屋さんとかもいたらもったいないというか、
「これあったかくないよ」とかね。これからは使う空気量の概念がプラスされればいいよね。
煙突性能がいい方が薪ストーブにとってもよい
の時代から、適正なドラフト管理があるという時代へ。
あと、開口度をわかってて、安全が担保されている(取扱い説明や薪の管理、メテンナンスで煤が少ない)っていう実績のもと、吹き抜けシングルとか、中空二重を使って”煙突性能あえて下げる”のは、
これは、「あー吹き抜けシングルこれダメな業者」とかってことじゃなくて、的確なドラフトの管理だから。ウチはやることあります。でもそれは、前述したことで出来てての話だから勘違いしないで笑。
あと、断熱が厚いとイイと思ってる人とかは、片方からしかまず物事見てないから担保されているのは第一に安全性だからね笑。国によって貫通部の断熱の厚さが決められてるとかあるしね。
もう使う空気量のこと無しに話せること無いでしょ笑?