四次元ポケットからの集合

2021年06月09日

陸上には短距離ランナーと長距離ランナーがいる。

遅筋と速筋の比率は生まれた時から決まってて変化することはないという。

現場にはモノが無くなる職人とモノが無くならない職人がいる。

遅筋と側近の関係のように生まれた時からモノをなくし続けて今後も治ることはないと思う。

先日たびたび登場していただいている大工の斎田さんと話をしていて、斎田さんは理路整然、非常にアタマのイイ大工さんなのでそんなことはないと思って聞いたら斎田さんもモノが無くなるらしい、

モノが無くなるというのは不思議な現象で、世の中には四次元の世界があってそのポケットに吸い込まれていくことを差す。

現場でいつでもどこでもとにかく必要なのは、スケール、カッター、鉛筆、だが、

その3種の神器はとにかく無くなる。測りたい時に測れない、測ったとしてもメモれない、段ボール箱のテープすら開けられない。

四次元ポケットは私のカッターやらなんやらで散らかりまくってるはずだ。

そのためにカッターや、0.7のBを仕込んだシャープは10本単位で買い、スケールは高いので10個買いたいけど買えないので、ど素人が使うような398円のものを5個買うけど、四次元ポケットを散らかすのが終わるわけではない。

前にメイソンリーヒーターを長野で組んでいた時、書きたくて書きたいのに鉛筆が四次元にいき、これ以上鉛筆を探すのはストーブ界の損失と思い、関さんの耳たぶに挟んでいたほぼ新品の鉛筆をサッと抜き(関さん電話中)、シャアンとマルノコで半分にし、短くなった鉛筆を関さんの耳たぶに返したことがあった(関さんはモノ無くさない、初めて会った時にあげたツールベルトを今でも使ってくれている)。

関さんの耳たぶのおかげでストーブ界の損失は免れた。

そんなんだから沢山の会員カードやそんなもん管理できるわけがない。セイコーマート(北海道のコンビニ)、の「カードありませんかー?」とか、序葉久(美味しいお蕎麦屋さん)の「スタンプ貯めてないんです、カード管理できないんで、」のくだり何回言ったか、、もう体にICチップとBluetooth埋め込んでほしい。

 

そんなある日作業服の胸ポケットに同じシャープが7本刺さっていたことがある。

これを四次元ポケットからの集合という。

各部屋に散りばめてあるメンソレータムも何故か机の2番目の引き出しに4つ集合する。

しかも大きなほう(しらんがな)

カッターも使いたいときあれほどいないのに工具箱を重くするくらい集合したりする。

そんなことだから、”無くなる” と”四次元ポケットからの集合”のまるで滿汐と引潮のような繰り返しに疲れることもある。

そんな欠点だらけの私だが

疲れながらもそれらをカバーして有り余る何かがあるからこうやって浮き沈みもさほど大きく無く30年以上現場をやってこれたことを最後に書き記しておく必要があるだろう。

 

追記 自分の事を棚に上げていうわけでは全くないけれど、全てできる人っていないよね笑。どこかが凸してて、どっかが凹んでるだけ。だから気にしない。何十年のあいだに沢山の職人を見てきてて、モノを無くさない職人が優れてるかというとモノ無くさないというスキルに対しては優れてるだけであって、職人としてのスキルとはまず関係ない。向いている仕事についている人は成す場合が多いし、そうでない人もいると思うけどそれも受け入れて続けてる人もたくさんいる。俺みたいにモノ書きたいときに書けないシチュエーションとかは問題外なんだけど笑、逆になんか凹んでる人は特殊な能力を持ってる場合がホント多い。

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