気密性の高い薪ストーブの本当のメリット
世の中のロジックには気密性の高い薪ストーブのメリットとしては、「高気密住宅に向いています」、みたいなものがある。
世の中の薪ストーブ屋さんプロ達もなんとなくそう頭にしまい込んでる人が多いと思う。
これはあかん笑
しっかり解説したいと思います笑
気密性のいい薪ストーブ主には鋼板製の薪ストーブの事だけど、鋳物で組み立てられた薪ストーブと比べて、”溶接”や、”曲げ”、が使えるので、熱の膨張収縮や経年劣化に対してメリットがあるのはまあ確か。
経年変化を差し置いて、最初から鋼板製薪ストーブが気密性がイイなんて言っちゃう方もいるかもしれない。
計ったことあんのかって。普通は無くて言っちゃってると思うけど、、
俺はあるよ! 笑。
薪ストーブの気密性を数字にする方法は実に簡単で、ウチは数年前からそれを新品時にデータとして計測しております。計測方法やそれが何と関係あるかっていう話はまた今度として、、。
そうやって測っていくと、鋼板製薪ストーブも、鋳物の薪ストーブも新品時においては数字の違いってまあ無いね。
本当の話だよ。
じゃ、一番初めのロジック、「気密性のイイ薪ストーブは高気密住宅に向いています」は、どういうことでそういうロジックになるのか、っていったん戻ると、
高気密住宅は、薪ストーブがついている居室が換気扇の影響を受けるのはみんなも知ってるでしょ。
例えばレンジフードを回すと逆流するとか、24時間換気や風呂やトイレなどの換気扇の影響を受けるってことね。
「気密性のいい薪ストーブだとこれらに耐えられますよ」っていう話の筋なんだと思うんだけど。
これは無理なんだわ。
住宅の負圧ははウチも散々測ってきているけど、レンジフードを回して計測された負圧は今までの最高は大気圧-80Pa程度。どんなに気密のイイ鋼板製薪ストーブだって、80Paもかかんなくても半分程度で本体のドアのパッキンからリークします。
っていうかその前に煙突は?
断熱二重煙突は気密性は取れておりません。どのメーカーのものもね。ロッキングバンドのとこにホコリついてるのは吸ってるからホコリついてんのよ。
もちろんシングルも。
それをまあ、耐熱のシリコンとかで塞いだとしても、テープ貼ったとしても恒久的な措置と言えないですよね。毎日する伸び縮みに耐えられるものなんてない。
断熱二重煙突みたいな普及しきった製品が配管のように気密が取れて作られていないっていうのは、ナンセンスだからやってないのよ。こういう言い方もできるね。別にしなくていいからしていないの。
そこ曖昧でメーカーってあんなに製造しないでしょ。
ハッキリそういう方針の元作られてるってこと。
薪ストーブを気密化することの最大のメリットは、
薪ストーブの中の空気の流れを計画的にできる
って事です。
何処から空気が入り、こういうルートを通って炉内でどう使われる、をしっかり実現できるってことさね。
これって何かに似てません?
高気密住宅の計画換気設備と同じだよね。住宅も高気密にすることのメリットは暖かくなる、っていうロジックだけで語る人のなんて多い事さ笑。
なので、温暖な地域では、ある程度の隙間が、、とか言う人もいる笑。
高気密住宅のメリットはそこじゃなくて、計画換気を実現することができるって事なんだよね。そうする事で、例えば隠ぺい部分(壁の中)とかの空気の動きをコントロールして内部結露を起きないようにして建物寿命が延びるって事なんだよね。そこ大事なのにホントないがしろにされてるわー。挙句の果てに「24時間換気、、消してもイイですよ」って言っちゃう建築屋さん。ココホントに勉強してよね。
じゃ高気密住宅はそういう計画換気が実現できるレベルでいうと、C値で言うと1.0欲しいね。0.5くらいあればなおいいよね。
C値が高くなるとね(気密が悪くなると)、浮力換気とか風圧換気の影響をうけて、目標とする計画換気の数字にならないのよ。
ここも日本の住宅の換気設備の考えからすぼっと抜けている部分だけど。。
なので、住宅の負圧対策って、まずは建物で取られているのが本質なんだよね。鋼板製薪ストーブは、多少いいかな、くらいのもんさ。外気導入もそう。それが解決するわけではないから。多少いいかな、くらいのもん。
まずは、って言ったのは、多角的に全部で考えないとダメなのよ。
建物もそうだし、薪ストーブも煙突も、ストーブ屋さんがしてくれる取説とか。そういう対策がしっかりと考えられていれば、超高気密住宅で8GLみたいな外気導入出来ない薪ストーブを安全につけることも全然可能なのよ(もちろん多数実績あり)。
なので、気密性のイイ薪ストーブでその対策です、って言ってしまうのは、俺嫌いさ。セールストークでカンタンだよ。セールストークでカンタンな事言われたと思ってください笑。